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黄色の花2024.03.05 Tuesday
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春は黄色の花で埋め尽くされる。
華やぐ黄色。ニコッと笑った笑顔の黄色。心が暖かくなる。
うつうつとしてた気持ちが次第にのびやかに羽根を広げ、
しなやかな黄色の花へと変わっていく。
暖かい春の日差しに包まれて、
初々しくもほんのりほほを染める乙女のごとく。
空はきれいだ。
どんな時も空はきれいだ。
その空の下、黄色の花は野原一面、
この世界を照らしつくさんとばかり咲き誇る。
次から次へとまた次から次へと、咲き誇る。
この先のことはわからない。
わからないけれど、咲き誇る花がある限り、
心地良い風が吹く限り、野や山や里へと、
くぐもったベールを一枚一枚剝いでいくように、
黄色の花の波はきれいにきれいに咲き誇っていく。
冬の間、静かだった田んぼ。
ようやく田起こしが始まり、
さぁ、今年もがんばって良い米を作ろうか。
もう少しすると山も始まる。
熊は怖いけど、キチッと用心すれば大丈夫だ。
畑をたがやし、野菜を植えて、一息ついたら花見を楽しみ、
ふるさとの懐かしき原風景はすぐそこに生まれる。
いつもの春、毎年訪れる季節のいとなみ。
一から始めるものの、底知れない強さを感じ、土の優しさを感じ、
心の素直さを信じ、誰れ彼れとなく微笑みあって手を取り合う。
この時、この時代に生まれたなればこそ。
この時、この時代に育って生きていくものなればこそ。
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